設立趣意書

私が8歳の時、父を思いがけない事故で亡くしました。
貧しい暮らしの中で、母は残された5人の子どもたちを育てるため、朝から晩まで働きづめでした。

私と2つ上の兄は、少しでも母を支えたい一心で毎日農家の手伝いなどできることをして働きましたが、家族そろって暮らすこともかなわなくなるほど生活は困窮していきました。

そんな暮らしの中でも兄は学校の成績が優秀だったため、中学3年生の時に担任の先生が進学を勧めてくれました。

しかし、母の苦労をいやというほど知っていた兄は進学せず、住み込みで働けるところに就職しました。
私も兄同様に中学校卒業と同時に住み込みでパン屋職人として働き始めました。 家が貧しかったため進学することなど考えもしませんでした。

その後兄はクリーニング事業を始め、成功をおさめます。
私も紆余曲折はありましたが、その後たった一人で創業したファンケル化粧品が東証一部上場を果たすことができました。

ここに私財を基金として池森奨学財団を設立いたします。

向学心に溢れながらも、家庭が経済的困窮のために勉学を断念せざるを得ない子どもたちを支援することで、少しでも力になりたいと考えます。

このことが子どもたちの希望となり、また将来社会に役立つ人材育成の一助となればこの上ない幸せです。

池森奨学財団
理事長 池森賢二

ページトップ